洋上年越酔生夢遊病

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駐輪場で朝を迎えるのもオツなものである。

わりとどこでも寝られるとはいえ、屋根の有無は重要だ。
露天だと朝には露で寝袋がグッショリ濡れてたりするからな。
あれはなかなかつらい。
今朝など露ではなく霜だったので、夜はそれなりに冷えたようだ。

さあ、ここから鹿児島まではもう10キロちょいだ。
もう夜中のうちに峠も越えたようで、
朝の冷気を浴びつつ、爽やかーに下って鹿児島市街にイン。

来たなぁ鹿児島!
鹿児島は熱い街なんだ。
Tシャツに絵を描いて売る旅をしていた時に遭遇した、
鹿児島のミッドナイトアーケード街の熱気は忘れられない。

国道3号線は、市内で懐かしの10号線と合流。
九州で走ってきた2本の線が、いま1つにまとまった気がする。
北海道、本州と同じく、俺は九州のこの2本の幹線国道にも、
一本の見えないワダチを刻んでこられた。
よし、仕上げは沖縄だ。

日が上るともはや暑い鹿児島市街を海へと向かう。
フェリー乗り場を探しあて、無事に切符は買えた。
今日の18時発、明日19時着らしい。
これだと、ちょうど船の上で年を越すことになるな。
たまにはこういうのもいい。
だがおそらく、年越しの瞬間は寝ているだろう。
いや、25時間きっとずっと寝ているのは間違いない。
11年前に乗った時はちょっと気分が悪くなってねぇ…。

ところで一輪車、自転車ではなく手荷物扱いだった。
一輪車なんか滅多にないので手荷物でいいですよ、とのこと。
鹿児島から沖縄のフェリーは2社が交互に運航しているので、
帰りに別の船会社だったらそれはまたわからんそうだ。

ついでに、大晦日の今日は客が少な目だが、昨日までは帰省客が凄かった。
1月8日まではまた帰省客が増えるので、
帰りは余裕があるならそれ以降にしたほうがいいですよ。
そう親切にもアドバイスされる。

なるほど!それは貴重な情報だ!と思ったのだが、
よく考えたら、帰りは別に船に乗る必要もないのである。
帰りのことなんか考えてないのでどうなるやらわからんのだが。

ともあれ。
日本縦断の旅も、ついに最後の県、沖縄を残すのみとなったわけだ。
これといって強い動機や目的があるでもなく始めたこの旅が。

そもそも、
「なんでこんなことをやろうと思ったんですか?」
と聞かれるのがつらい。
たいした理由はないのだ。

財宝を探すとか魔王を倒すとか、あればいいんだがな。
特に、お姫様を救い出しに行くなんて最高だ。
だがそんなシブい動機などはまったくなく、
俺はこうして一輪車に乗ってセコセコと鹿児島までやって来た。
異様といえば異様だ。

でもまぁ、
実際にここまで来たことがすべてだし、
現実にここにいることがすべてだと思う。

えーと、今日の走行は25キロ。
宗谷岬から鹿児島港までは、3293キロだ。
それじゃ、行ってくるぜ。

ぬお、妙なおっちゃんに絡まれスーパードライを振る舞われ、
いきなり酔った!
まぁいい、むしろ好都合だ。
このまま25時間耐久睡眠行くぜ!

しかしあのおっちゃん、40年ぶりに故郷の奄美に帰ると言っていたが…。
大丈夫なのかそれ。俺よりそっちのほうが心配だ。
もういいや、それもまた人生!

あ、船内にコインランドリーが無い…。