6月14日#3 リゾートの色

キューバではこれまで、ちょっとしたモノを買える町の商店レベルの店しか見てこなかった。
だがここはリゾート地、バラデロ。
探せばちゃんとあるじゃないか。ショッピングモールってヤツが!

そこそこ綺麗で大きな平屋の建造物の中に、テナントが…そう、テナントが入っている!
カフェ、服屋、オモチャ屋、写真屋、そして、スーパーも。
おぉ、スーパーマーケット!
あの、広い店内をショピングカートで回って自分の好きなモノを入れてレジで買う、アレだ。
アレがキューバにもあったとはーーー。
ここなら、商品を勝手に手にとって見ても誰にも怒られないのだ…!!

興奮してばかりもいられないので、サッサと入店。
それなりに色々な食品が置いてあるが、俺が買って得しそうなモノと言えば、
やはりビスケットとジュースぐらいなものだった。
これじゃ他の店と同じだ。

だが、念願の高額50CUC札崩し、これは大成功!
レジのお姉さんはニコヤカに札を受け取り、細かいお釣りをちゃんと渡してくれるのだった。
よっしゃ。これでまたしばらくはキューバで生きていける。
この店、明日も来よう。

イメージ 1
 
ここはスーパーの外。
宿願を果たした凱旋記念にレッドブルを買う。
こんなモノまであるとは珍しい。さすがはリゾート、キューバの他の店とは品揃えがだいぶ違う。
たしか日本のレッドブルは薬事法かなんかの関係で、他の国とは少し成分が違うそうだ。
そんなわけで他国のレッドブルを買ってみたのだが。
味、おんなじ。

そんなことより。
バラデロ、いいなぁ。
もう住みたい。3日ぐらい。
普通のスーパーがあるのがこんなにありがたいことだとは。
 
イメージ 2
 
スーパーはおろか、柔道場も発見。
よく見ると柔術も一緒に教えているそうです。
一体誰がどんな風に教えているのか興味があったが、中に誰もいないんだからしょうがない。
 
イメージ 3
 
あまりにも暑いので、公園の木陰で休憩。
木の根元に妙にデカいトカゲがいる。
日本で見たら驚くだろうが、キューバだとそれも当たり前のように思えてさほど驚きもしない。
いきなり顔に張りついてきたりしたら話は別だ。
 
イメージ 4
 
町で見かけた謎のバス。
キューバとアメリカの友好について、精一杯の主張が展開されている。
 
キューバとアメリカは現在、敵対関係ということになっているハズだ。
かつては核戦争ギリギリまで行った引き金となった国でもある。
政治体制、ひいては生活の根本から異なった国同士。
やはり、相容れないものなのか。
国としては、そうなのかもしれない。
だがキューバ国民ひとりひとりの目線から見れば、また別の複雑な想いがあるのかもしれない。
そこはまだわからない。
このバスを見て、ただなんとなく察するだけだ。
 
じゃ、せっかくだからビーチものぞいてみるか。
 
イメージ 5
 
これがバラデロのビーチ。
まだ6月だからか、暑いのにあまり人も泳いでいない。
だが、海はたしかに綺麗だ。これぞカリブ海!って感じ。
砂浜にはゴミもなく、こちらも美しい。
そう思っていたら、ゴミを拾い集めている人がいる。
ちゃんと仕事でやってるんだな。さすがはリゾート。
 
イメージ 6
 
どう考えても暑いので、木陰で休憩。
ああ、吹く風は涼しくて気持ちがいい。
 
ここがバラデロかー。楽しい町だなぁ。
写真には撮れてないけど、市街はもう外国人観光客でいっぱいなのだ。
本格的な夏ともなれば、このビーチにも人が集まるのだろう。
いや、あれ?キューバってヨーロッパ人の避寒地なんだっけ。
じゃあ人が増えるのはむしろ冬なのかな。
まあいずれにせよ、今は人が少ない時期だというのは間違いない。
それでもこれだけ観光客が押し寄せている。
 
でもこいつら、知らないんだよな。
勝手に商品を取っては怒られるサンタクルスデルノルテの町の商店とか…。
あたりまえです。外国人にとってキューバといえば、普通はこういうところなんでしょう。
 
街で気づいたもう1つのこと。
キューバは白人と黒人が差別もなく暮らしている稀な国だと聞いていた。
たしかに、白人と黒人はそれなりに仲良くやっているように見える。
その一方で、とにかくアジア人が少ないのだ。
ハバナでもそう、途中の道のりはもちろんで、外国人でいっぱいのバラデロですらほとんど見かけない。
やはり渡航費が高いせいだろうか。
アジアからすると地球の反対側だからな。しかも他のカリブ諸国に比べてさらに高いし。
ここに来る外国人がどういう国の人々なのかはイチイチわからないが、
やはりスペイン語が喋れるヨーロッパの国の人が多いのではないかという気はする。
バラデロですらほとんどスペイン語しか通じないからな。
たまーに英語で話しかけてくるヤツがいるかと思えば、
 
「おぉフレンド!私は日本が大好きなんだ。」
 
「ほぅ。」
 
「ところで、私の赤ちゃんが病気で入院しているんだ…。1CUCもらえないだろうか。」
 
「いやだ。」
 
終了。
 
自分の赤ちゃんが入院してるなんて話を満面の笑顔でするヤツがこの世界のどこにいる。
この手の輩は、ちょっとした都会となるとどこにでもいるんだな。キューバにおいても。

キューバで生きるキーワード、スペイン語のほうはあいかわらずサッパリ。
でも最初は「ノーアブロエスパニョール!(スペイン語は話せない)」と言っていたのが、
最近は「アブロウンポコ!(ちょっと話す)」と言うことが増えてきた。
「話せない!」と言った直後に、
「ここはどこ?」とか「これいくら?」とかベラベラ聞いてるのが、我ながらおかしくてね。
 
イメージ 7
 
あちこちさまよい歩いた末に、やっと宿に戻ってきたよ。
ミゲルの宿、なかなかの素敵ハウスである。
門を入ってすぐ右、画像に写る閉め切った窓が俺の部屋。
この門は常に施錠されていて、俺は部屋の鍵と門の鍵の両方を預かっているのだ。
バラデロって、それほど治安に気を遣わねばならない街なのだろうか。
 
あーともかく、外は暑すぎた。
空荷で歩いても十分に暑い。そしてしんどい。
観光客向けに相当発展しているが大して広くはないバラデロ市街を歩くのに、何度休憩したことか。
空荷でこのザマなのに、なんで一輪車の上に重装備まで背負ってこの島を旅したりできる?
全然進まないのは当たり前だったのだ。
このままバラデロにいれば、宿は居心地いいし、スーパーもあるし、快適に何日でも過ごせるだろう。
せめてもう何日かはいるべきだろうか。
セルベサ(ビール)を飲んだせいか、動悸が早くて疲れも深いようだ。
とにかくここで扇風機を浴びつつ休もう。
 
イメージ 8
 
宿で扇風機を浴びながらグッタリしているのがキューバの正しい過ごし方と信じて疑わなかったが、
なんと寝室にクーラーが存在することを突きとめた。
おいおい、最強じゃないか。涼しい!
日本でクーラーなどカラダが冷えるのでまず使わない俺だが、正直ここでは助かる。
それほど暑さで消耗しているのだ。

安い宿にクーラー完備…。
キューバがますますわからない。
考えてみれば、2500円弱でこんないい宿に泊まれてしまうわけだ。
そりゃあいいところだよなキューバ。遊ぶだけなら。あとスペイン語もバリバリなら。
今計算して知ったが、到着初日に空港の銀行で両替した10万円は、1208CUCに化けていた。
30日の滞在を10日ぐらいにしておけば、実際に俺程度の予算でもこの島で豪遊できたのかもしれない。
まぁ、でも。
30日の貧乏旅にしか見えてこないものもある。
10日の豪遊でしか経験できないこともあるんだろうけど。
 
イメージ 9
 
そういえばテレビもある。
天気予報をチェックするべくつけたみたが、今はニュースと子ども番組しかやっていないようだ。
ニュースをしばらく観続けても一向に天気予報をやってくれないので、うるさくなって消す。
 
ふぅ、なんにせよ、ここはいい宿だよ。
今こんなにも落ち着く環境で休めているのも、本当に何から何までホセとリャンのおかげである。
だが心身が安定すると人間は途端に贅沢になるもので、早くも日本人病がでてきた。
うーむ。
ダシの効いたものが食べたい。
 
どうしよう、明日もここに泊まるかなー?