自動和牛
知人がベッド用のマットレスをくれるというので、レンタカーでバンを借りたのである。
日本国は今でもミニバンが大人気なのだろうが、ミニじゃないバンってのは本来こんな車格だ。
比較対象がないからわかりにくいかな。とりあえずデカい。
内部はただの箱。
身長177cmぐらいの俺が普通に立って歩ける。ついでに運転席を行き来もできる。
これは住めるな。いや住みたい。
運転した感じは、以前乗ったトラックに比べればわりと違和感なく走れる。
広いアメリカの道だと内輪差なんかもそれほど気にしなくていい。
しかしやっぱり問題は、後ろが見えないこと。これに尽きる。
乗用車乗りにはとにかくそれが厳しい。
真後ろは仕方ないとしても、斜め後ろが非常にわかりにくくて高速の合流なんかが怖いんだよな。二種類あるミラーも距離感を掴むまで安心できないし。
まあ今回も幸いなんとかなったから良かったが、慣れないクルマというのは難しいという話だ。
そんな折り、その辺で見かけたのがこの変わった形のクルマ。
これ何と、電動の自動運転車なのである。
プログラムされた行き先をバスのように走って巡回するEVで、運転手はおらず運転席やハンドルすら無いらしい。
あるのは通行状況を表示するディスプレイと、非常停止ボタンだけなんだと。
いやーーーすごいね、ついにこんなものが近所の公道を走るようになったか。
今のところ最高スピードが時速約15マイル(24キロ)とかでえっらいおそくてただの渋滞製造機なのだが、今後データを集積して安全が確認されてくればスピードも上がってくるだろう。
で、こんなものが一般向けに実用化されたら、どうする?
俺は結構あっさりとそっちに移行しそうな気がするな。
ドライビングの楽しさとか自分で運転することへのこだわりを持っている人は意外と少なくて、もし運転しなくていいんならその方が楽でいいと考える人は実は多いんじゃなかろうか。
自動なら、通勤通学中は寝るなり他にしたいことをするなりなんでもできるし、高齢者も免許を返上して不便な生活をしなくていい。
走っているクルマが全部自動になればおそらく交通事故も減る。
手動のクルマは次第にただの趣味となり、比率はどんどん減っていってブリーフ派からハヤシライス派レベルを経てついには絶滅する。
便利が押し寄せると元に戻れない。そんなもんだと思うよ人間って。
まだちょっと先だろうなあと漠然と思っていたものがおもむろに眼前に現れたので、ちょっとそんなことを考えた。
なぜか直進方向が通行止めだと思ったら、こんな工事中である。
建設中のビルの壁をクレーンで釣って丸太で押さえてるだけ。
このあと金具と接着剤で固めるつもりか?冗談のようだがアメリカならありえる。
ちなみに俺の知る限り、アメリカではこの手の建物はみんな一律にこういう建て方である。
一戸建ての建て方もどれもほぼ一緒で決まっているので、フロリダはどこに行っても似たような建物ばかりでわりと景観に変化がない。
これは店舗でも同じで、どの店も同じ形だし看板も控えめだから、よほど興味を持って見ていないとそこにこういう店があるというのがパッと分からない仕組みになっている。日本の店のほうがよっぽど主張が激しい。
日本人は控えめで目立つのが嫌いとよく言われるが、こと店に関しては日本のほうが断然アピールしてくるというのは面白い。
よくある一戸建てだがこの家は独創的なほうだ。
でも一階部分はブロックを積み上げて作り、二階はツーバイフォーの木材で建てるという基本は同じ。
そんなことよりここの住人に、
「あなたのガレージの扉、漢字で『木』って書いてるんですよ」
と教えてあげたい。
ハロウィンか。そろそろそんな季節だな。
こうやって飾り付けをする家はもちろんあるが、うちの周囲を見るとせいぜい全体の3割ぐらいである。
アメリカだからって国を上げて超盛大にハロウィンを祝うわけではないので日本でもそんなに流行らせなくていいと俺は思うよ。
アメリカンスタイルKOBEビーフ。
うさん臭えと思ったら、アメリカで育てたwagyuとのこと。
そのwagyu、賭けてもいいが神戸牛ではないと思う。
ほなまた。