もう遠くに行きたくないんだ
ジョージア州から歳の離れた友人、フィルが遊びに来てくれた。
ベンツで来ると言うからてっきり以前乗っていたベンツの高そうなオープンカーで来ると思っていたら、
これで来た。
ベンツのキャンピングカー。やたらデカい。
そして長い。
日本の道だとちょっと脇に入っただけで身動きできなくなりそうだ。
中古で1000万ぐらいだったそうで、ベンツのキャンピングカーにしては意外と安いような気がせんでもない。要らんけど。
ジョージアからここフロリダに来る8時間ほどの道中、奥さんのダッティは半分ぐらい後席のベッドで寝転んでいたそうだ。超楽そう。そんなドライブなら俺もしたい。
それがアメリカの道路交通法的にいいのかどうかは知らんが調べるのはやめとこう。
ほとんどトラックっぽい、シンプルで広い運転席。
ハイウェイを走るのがメインならとっても乗りやすくて快適そうだ。
まあ、要らんけど。
お好み焼きを2枚重ねてソースとマヨネーズをシロップのごとくグダグタにかけてナイフとフォークで食べる人を俺は初めて見た。
完全にパンケーキと誤解していると思う。
しかもうまかったらしくおかわりをしてくれた。
フィルは俺が一輪車でアメリカを横断していた時に知り合った恩人だ。
なんといっても風邪をひいて道端でブッ倒れていた俺を拾って風邪が治るまで10日間ぐらい家で休ませてくれた人だからな。あの時は本当に助かった。
その義理の母であった日本人のサチコさんにも大変良くしてもらったが、彼女は去年90代で亡くなった。
今回フィルは、彼女の遺品である日本製のカップをウチに届けに来てくれたのだ。
あの一輪車の旅ももう6年前で結構な昔話になった。
その間、どういうわけか結婚してアメリカに引っ越して子どももできたりしたので環境はかなり変わったわけだが、こうして当時知り合った人とまた会えるのは楽しかった。
またフロリダに強力なハリケーンが来たりした時はジョージアまで避難させてもらうかもしれない。
それまで元気でいてほしいものだ。
いやでも、次はクルーザーで近くの港まで迎えに来るとかなんとか言ってたな…。一回自分のクルーザーでバハマに行きたいんだと。
とりあえず船はやめてほしい。それも外海に出るなんてもってのほかだ。
石垣島から波照間島までの船酔いシンドローム航路、もしくはパプアニューギニアの激揺れ漁船改造ボートの悪夢がよみがえる。
しかもフロリダからバハマってバミューダトライアングルの端っこぐらいじゃないか?失踪したらどうする!
というわけで、クルージングは丁重にお断りするつもりだ。