4月8日(木)その2 ヴィークのあたり

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いまだにスッキリしない天気ではあるが、
だんだん回復しかかっているような気もする。

とにかく次なる目標は、ヴィークの街!

おらぁぁ、行くぜぇぇーー!!

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とは言いつつ、やたらとマメに休憩。
写真の背後のあの急坂!あれを降りてくる時にムダな体力を使ってしまってねぇ。
あーしんど。

ところで何このパン。
昨日クヴォルスバトルの町で買ったパンなんだが…。
パサパサしてて固くてまったく味がない。
革を食ってるみたいだ、革!!

値段だけ見て安いのを買うとこうなる。
実はこのパン、サンドイッチ用。
そりゃ味気ないわ。

話はまったく変わるんだが、
どうもこのあたり、妙に坂が多い。

話が違うんじゃないか…。
リングロードはおおむね海岸線に沿っているから大してアップダウンも無いに違いない、
と勝手に思い込んでいたのに…。
なんでここに来ていきなり、山岳地帯風味なんだ!

おまけにうわぁ…この先…すげぇ坂が待ってるよ…。

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正直、バテた。
この坂はちょっっっとしんどかったね…。
だいぶ足腰にきまくってしまい、もはやご老体。
しかも、いつのまにか雨もやんで暑いよ!

あぁ、暑いと水がすぐなくなる。
手持ちもあとわずか。早くヴィークに着いてくれぇー。

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おや、急峻な山々が目の前に。今までこんなのあったっけ。
どうもこの辺は、今までのだだっ広い荒野とはちょっと違う風景だ。
標高はさほど無さそうだがあの斜面、冬に登って滑ったら楽しいかなぁ。

それにしても、なんでまた急にこんなに暑くなったんだ。
さっきまでの冷え冷えとした雨はどうした…。

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あ、遠くに街が見える。
ヴィークだ!近い!

でもなんでわざわざ山の向こうにあるんだヴィーク!

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…近いと思ったら、意外に遠いヴィーク!

こういう時ってムダに焦るよな。
もうすぐなのにまだ着かない。
そこに見えるのになかなかたどり着けない。

でもあとは坂を下るだけ!

街をめがけて長ーーい坂を一気に走り降り、
笑顔でクラクションを鳴らすトラックのおっちゃんに手をあげて挨拶すると、
そこがもうヴィークの入口だ。

やっと、やっと着いた…。

ついにやって来た、ヴィーク!!

何はなくとも町に着いて最初に探すのは食料品店!
やっと思いっきり水が飲める!
今はとにかく水、水ッ!!

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…ようやく、落ち着きを取り戻した。
よく見ると、ヴィークは小さいが綺麗な海沿いの町だ。

さっき店の中に入ると女子学生がたくさんたむろしており、
その中の数人が俺のことをジーッと見ているので、
持ち前の爽やかな笑顔でキラリと挨拶してみたら、

無 視 さ れ た !!

アイスランド人って日本人よりもシャイなんだろうか…と思ってたら、
実は彼女たち、イギリスから来た団体客の皆様でした。
イギリスにも修学旅行ってあるのか?

そんなシャイなイングリッシュ女学生たちと話す機会はまったくないのに、
なぜか俺を見つけ、捕まえ、熱く話し始めるのは、
その一行をガイドしているアイスランド人のおっちゃん、グーナさん。
彼は激しいマシンガントークでもって、
疲れた俺の脳髄にあらゆるアイスランド知識を叩き込んでゆくのである。

要約すると。

・明日は天気が悪い、風が強くて雨も降るそうだ、と新聞を片手に解説。
・俺のペラペラ地図には載ってないが、町以外で水と食料を買える場所がこの先に1ヶ所ある。
・アイスランドの田舎には農家が経営している宿というのもある。役に立つかもしれない。
・ところでグーナさん、俺は中国人じゃないよ。

まぁザッとこんなところだ。
ところでこのグーナさん、

「ユニサイクルだと追い風なら進むだろうが、向かい風だともう大変だろう!ハッハッハ!!」

みたいなことを、
おそらくはおもしろおかしーく話してくれているっぽいのだが、
彼のトークのおもしろい部分を今ひとつ理解できないのが残念でならない。

やがて彼はイギリス人学生を満載したバスに乗り込み、
と思ったらまた出てきて俺の手に板チョコと大量のピーナッツを押しつけ、
またバスに乗り込んで今度こそ去っていった。

忙しい人だった…。

でも、嬉しいもんだ。

「このチョコレートはクリームだ!パワーがつくんだ!!」

そう力説していた根拠はよくわからないのだが、とにかく嬉しい。
彼がガイドなら、イギリス学生たちにもいい思い出ができるんじゃないかな。

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いちおう、ヴィークらしいモンも撮っとく。あの変な岩。

遠くから撮るだけ撮って、わざわざ近づいていかないあたりはさすが俺。
1mでもムダな体力は使いたくないという、心身の状態がアリアリと反映されている。

さて、と。

明日は雨か…。
どうしよう、まだ午後2時過ぎ。微妙な時間だ。
進むか、それとも今日はヴィークで宿を探すか…。

雨ではつらい目に遭ったばかりだ。
ここはたぶんヴィークに泊まったほうがいいのだろう。

そうだろう。
そうなんだが…。

結局、もう少しだけ、進むことにした。

泊まるとなると金がいる。町の外ならタダで済む。
それに、まだ時間があるなら少しでも進んでおきたい。
いろんな考えがミックスされて、こういう結論になった。

よし、出よう。
長い道のりを経て、ようやくたどり着いたヴィークには、1時間ぐらいしか滞在しなかった。

ヴィークを出発し、再び走り始める。
とはいえ、今日の目的はもうすでに達成したようなもんだ。
これから先はオマケみたいなもので、
気分次第でどこまで走ってもいいし、疲れたところで寝ればいい。

天気もよく、気温もまずまず。風も優しい。
昼下がりの陽がさして、あたりはオレンジ。空はライトブルー。
すべてがおだやか。
水たまりは凍ってるけどな…ってところでおもむろに思い立ち、



動画を撮ってみた。
なんとなーくアイスランドの雰囲気が感じられるかな。


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ヴィークから20キロぐらい走ったところのミニ休憩スペース。
今日はココで寝るとする。
昨夜の教訓をふまえ、シートを被せて風雨対策をしてみたけど、さてどう出るかな。

ここは近くに川もあり、水の補給ができていい。
さっき飲んでみたけど結構うまかった。
これでガスがあればあったかいものが飲めるのになー。
バーナーは持ってるんだが、それに合う円筒型のガスボンベがアイスランドには売ってないんだわ…。

今日の走行は61キロ。
ピーターのクルマで20キロぐらい乗せてもらったと思うから、80キロ程度は進んだことになる。
今日は朝からずっと雨がちだったのに、
ヴィークを出たラスト3時間あたりは本当におだやかな空気に包まれていた。

それにしてもこの辺、本気で家もなんにもないな。
クルマも激減したし、あたりには柵がないので馬もいないだろう。
こんなに寂しいところなのに、なぜか携帯の電波だけはあるのがありがたくも不思議だ。

グーナさんがくれたアイスランド産の板チョコは、
ブ厚くて食いでがあって、うまかった。