三重かける

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桑名から四日市、そして鈴鹿市へ。
ひたすら走り、日陰で休み、水分を摂る。この繰り返し。
服は雨にでも当たったように濡れている。

坂の上のコンビニにまたも吸い込まれ、長々と休憩。
そういえば今日は昼寝もしていない。いい場所がなくてね。
少し目を閉じると、意識がウニャウニャになりかける。
いかん、もうちょっと走れば関宿の道の駅だ。
そこでじっっっっくりと休もう。

東京で会って意気投合した36インチの一輪車乗り、Go Go Wheelsさんの繋がりで、
ここ三重県のユニサイクリストともネット上で知り合っていた。
その彼からちょうど居場所を尋ねる書き込みがあったので返答し、さらに休む。
何分後ぐらいだろう、そろそろ行こうかと立ち上がり、コンビニの敷地から出る。
その時、入れ替わりに入ってきたクルマのドライバーが、俺に激しく手を振っているのが見えた。
それが三重県の一輪車好き、Cokeruuolf(コケルウルフと読むべきか)さんだった。

コンビニ前に戻ってさっそく歓談。
彼の車内には、さも当たり前のように36インチユニがインストール済み。
しかもcokerというメーカーの、日本で他に誰が持ってるんだというようなレア物だ。
コンビニの駐車場で試乗させてもらうが、やはり36インチは独特。
加えてこのcokerには、俺が以前から気になっていた『巡航用ハンドル』が付いているではないか。
興味のない人にはまったくもうなんとも言えない虫の触角みたいな物体だが、これはいい!

おっ。いきなりの雨。
真夏の夕立のような勢いだ。
あわてて試乗会を中止し、コケルウルフさんともどもコンビニの軒先に避難。
すぐに止むだろうが、久々の雨がこれとは…。梅雨はどうした、梅雨は!
しかし、雨宿り中でも、一輪車話は尽きることがない。

コケルウルフさん、なんとわざわざ俺のために、迎撃プランを練ってくれていた。
地元で有名らしい亀八食堂という店で夕飯、その後は俺の古民家好きを考慮して、関宿の旧宿場町にある、古民家を利用した素泊まり宿に泊まらせてくれると言う。
おや、そんな。滅相もない。道の駅泊上等な俺なのに。

まずは、亀山市にある彼のお宅でシャワーを浴びさせてもらうことに。
コンビニで一旦コケルウルフさんと別れ、亀山市街まで走る。
市街地を疾走していると…、何ィ、数人の人々が俺に向かって一斉に手を振っているだと!?

最初は何事かと思ったが、彼らの正体は、ノーススターというクルマ屋さんの面々であった。
どこかで俺をみかけ、一輪車野郎がノコノコ走ってくるのを店の前で待ち構えていたらしい。
ところで、このお店の女性に、今回の旅で初めて「日本人ですか?」と聞かれましたよ…。

後にコケルウルフさんと彼女の質問の意図について検討した結果。

1。一輪車で長旅なんてやらかすマッドなヤツが日本人とは思えなかった。
2。ただ顔が黒すぎた。

うむ、微妙なところだ。

クルマ屋さんの楽しい人々に見守られつつ、若干緊張しながら乗車し、スパーーッと走り去る。
乗る時、人に見られてると緊張するの!
あー、それにしても大勢に手を振られた時はビックリしたな。
マラソンランナーか、入場するプロレスラーの気分がちょっとわかった気がする。

さらに走り、コケルウルフさん宅に到着。
ご家族を紹介され、シャワーを浴びさせてもらう。
そしてここで、コケルウルフさんのユニサイクルコレクションを拝見。

うおっ、根拠なくスゴい!!

なんでクリスホルムのユニサイクルが20、26、29、36インチと揃ってるんだ!?
大体バカデカイ36インチをcokerとクリスホルムの2台も所有している意味が…。よく財務省関連の認可が…。
そして何より、これは何だ。
これまたレア物、サーリーのユニサイクル。しかも異常に太いタイヤ。
今はこれで砂浜を走るのにハマっているらしい。
ほ、ほぅ…あなたも好きですね…。
この極太タイヤの有効活用について語り合う中で、
俺なら北海道のパウダースノーを走り降りてみたいかなぁ、なんて思わず考えてしまった。

コケルウルフ宅をおいとまし、次は近くにある亀八食堂へ移動。
だいぶヤレた佇まいの店だが、客は多くて繁盛している。
どうやら焼肉屋のようだな。コケルウルフさんも初めて来たと…えぇ!?
久々の肉、しっかりと味わわせていただきました!
ちゃんと時流に乗って生肉用と焼肉用の箸も切り替えつつ。

食堂を出た後は、コケルウルフさんの提案により、関宿の古い町並みを見物に行く。
この辺はバイクで何度か通っているが、こんな場所があったなんて知らなかったな。
東海道の宿場町の中でも、1.8キロに渡って古民家が保存されているのはここぐらいではないだろうか。
実は見事なこの町並みに、彼が俺を泊めてくれようとしていた素泊まり宿があるのだった。
結局は俺のお願いでキャンセルしてもらったのである。
今日は熱暑の中を走り続けたので夜は確実に眠いだろう、せっかくの古民家もじっくり見る余裕がないと思うし、元旅人というオーナー夫婦や、相部屋の旅人たちと語らう元気もあるかどうか。
そんなわけでね。
素晴らしい出会いの機会を、みすみす逃したのかもしれない。
でも今の俺は、やはり道の駅泊がラクでいいと思うのだ。
これもまた縁であろう。

関宿の町並みを歩いて、すぐ近くにある道の駅までクルマで送ってもらう。
そしてやっぱり、道の駅の駐車場で試乗会。
東京あたりならいざ知らず、地方に住む一輪車乗り同士が出会うことは滅多にないのだ。話すことはいくらでもある。
あ、そうだ。
俺も通ってきたとおり、愛知と三重の間には木曽川を始めとして何本もの川が流れている。
コケルウルフさんいわく、かつてはその間に橋がなく、船で行き来する程度だったそうだ。
だから、愛知と三重では方言が明確に違うのだという。
あー、なるほど。非常ーに納得した。一輪車とは関係ないけど。

思わぬレベルでお世話になってしまったコケルウルフさんとは、ここでお別れだ。
彼は家へと帰り、俺はそのまま道の駅泊。
そろそろいい感じに眠いので、やはり宿に泊まってもうひとイベント立ち上げたりしないでよかったか。

コケルウルフさんにもらった蚊取り線香を焚きながら、
今日もまた長い旅日記になるなぁ、明日やろう…などと考えていた。