のーらいすのーらいふっ
この道はいつか来た道ー
そんな歌があるよな。
実はその道、札幌にあったらしい。
全然知らなかった。
で、その道の近くに、古くてちっちゃくてわかりにくくてひなびた一軒のバイク屋があってね。
今日はそこでバイクを買ってきたぞ。
上に書いてるオーバーフローってなんだよってのはひとまずおいといて。
ホンダのベンリィ CD90。
昔のお爺ちゃんのバイク、もしくはお巡りさんのバイクだ。
87年から92年の間のモデルかな。かろうじて12ボルト。
ニューバイクなのにいきなりオールド。最近こんなんばっかり。
春先までバイトで乗ってたカブ90とほとんど同じエンジンなのだが、
カブの3速に対してこちらは4速まであるのが大違い。
最高速は80そこそこでカブと大して変わらないものの、回転をひっぱらないなめらかさが大いに素敵。
北海道のクルマの流れにもなんとか食いついていけるというイカしたヤツだ。
座高の高い俺ではカブだと猫背になるが、これならほとんど直立OKってのも狙いどおり。
思ってたより高性能。魅せるぜ爺ちゃんバイク。
近頃、少し古いバイクをよく買っている。
気づいてる人もいるかも知れないが、
それらは俺が昔乗ってみたかったバイク、もしくはちょっといいなと思ってたバイクたちなのだ。
そういうのを今、かたっぱしから乗っていってる。
興味があるバイクの中でも優先順位というのは当然あって、
今回のCD90なんかはそのだいぶ後ろのほうにいたハズだった。
数年前なら、いや1年前でもそれほど欲しくはないランクのバイクだったのに、
冬にポスティングのバイトをしてたあたりからだんだん、ちょっとずつ乗りたい熱が高まってきてね。
それで今までずっといいタマを探していたのだよ。
さほど心惹かれなかったのに急に気になりだす。まるで人間関係のようで、不思議なものだ。
その時どんなバイクに乗りたかったのか。そして今どんなバイクに乗りたいのか。
この嗜好の変遷と自分の半生とを照らし合わせると、個人的には多少おもしろかったりもする。
いずれにせよ、目標をチマチマと叶えていくのは何度繰り返しても心地よい。
札幌からの帰り道。
遠回りでもいいからクルマの少ない道を、という感じでなにげなく走っていたルート。
風景を眺めながら快適に飛ばしていたら、おもむろに胸がしめつけられるような気持ちになった。
最初はなんだかわからなかったが、よく考えたらここは一輪車で日本縦断をした時に走った道なのだった。
マジで気がつかなかった。そうだ、ここは色んなことが起きた道だったよ。
記憶に直結しないうちから、無意識が景色に勝手に反応して胸をしめつけたのだろうか。
そんなこともあるのかね。俺が何か大事なことを忘れているとでも言うのか?
美瑛町ご当地ナンバー、今度は黄色だ。秋の麦色。
札幌の人にさえ、こんな変なナンバーじゃ警察に止められるよ!と失笑される始末である。
返す言葉もないね。フッ。
月明かりと100均の看板がよく似合う。さすがは生粋のビジネスバイクだ。
かねてより公共交通機関は嫌いだと公言している俺だが、
今回はやむをえず汽車とバスで札幌まで行ったわけですよ。
ああいうのも久しぶりに乗ると新鮮だ。世の中いろんな人がいるなーってのがわかる。
対してバイクってのは独りの世界で、やはりこちらのほうが俺は慣れ親しんでいるようだ。
汽車とバスは窮屈で仕方なかったのに、この小さなバイクの上ではなんと自由を感じられることか。
寒いけど。8月末日の北海道の夜はもう冷えるけど。
そうさねぇ、どうやら俺も結構バイクバカなんですよ。
ノーライスノーライフってヤツですよ。