6月26日#2 マンゴー論 -俺に語らせろっ-
小さな町の出店…いやこれでも名前はカフェテリアにて、
『ココデアグア』というメニューを頼む。
なんだと思う?ココデアグア。
はいこれ、ココ・デ・アグア。
そう、ココナッツジュースだ。
頼むと店のオヤジがおもむろに冷蔵庫からココナッツを出してきて、
目の前でナタを振るって飲み口を作ってくれる。
それはいいんだが、3人にジーッと見つめられながら飲むのはどうも緊張するぞ。
そういえば以前にもこんなことがあったな。あれはパプアニューギニアだった。
ココナッツジュースかぁ。
パプアで初めて飲んだ時は、薄生臭いとでも言ったらいいのかなんともいえない味だったが、
今回のはよく冷やしてあるせいか、かなりうまい。
水とジュースの中間のような自然でほのかな甘さが、コーラ漬けになっている脳には心地いい。
で、飲んだあとの殻の始末をどうすればいいのかと尋ねたつもりが、
返ってきた答えは、「割れ。」
あーそうか、つまり中身を食えってことだな。
ココナッツは中身も食えることをすっかり忘れていた。
空手チョップで殻を割るジェスチャーをやると結構ウケたが、
結局はナタで割ってスプーンも貸してくれたので、白い果肉を食う。
これも以前は緊急食料程度の味だなと思ったものだが、今回は甘くないナタデココみたいでそこそこ食える。
パプアのとは品種が違うのだろうか。単に気分の問題かもな。
ただ、水と食料が合体した完全食品がそこらへんに生えてる南国というのはつくづく素晴らしいというのは、
前とまったく同じ感想である。
今日は天気はいいけどさほど暑くもなく、風がよく吹いていてとても気持ちがいい。
急いで走る理由もないし、なんだか不思議なことだが、
ここにきてようやくキューバの旅を楽しんでいるような心地にもなる。
俺の気持ちに余裕があるせいなのかな。
心なしか人との交流もうまくいく。
こういうのがいいな…。
また町か。そして店か。
なんだかこの道、ラストゥナス以降は妙に町が多いな。
マンゴーらしき小さな黄色い実と、非常に通じにくい熾烈なやり取りののち、なぜかレモネードが出てきた。
うまい。
で、この実は本当にマンゴーなのか。
よく見るサイズよりも小さいし、ちょっと黄色すぎやしないか。
店のおばさんはマンゴーだと言い張るが、子どもたちはニヤニヤしてそうとも違うとも言ってくれない。
そんなことよりキューバの子ども達がこうやって笑顔を向けてくれるのは本当に珍しい。
田舎っていいな。
そして謎の実。食えばわかる。
よし、わかった。
これはマンゴーではない。完熟マンゴーだ。
ぐわあぁぁーと唸るほどの濃密な甘さと、そして膨大な繊維!!
緑のマンゴーも中心部には繊維があって歯に挟まるのだが、今回はそれとはもうまったく比較にならない。
まさに繊維の塊。
歯にくっつきまくり。気になってしょうがない。
なんとか落ち着けるレベルまで歯を掃除するのに30分ぐらいかかる。
猛烈に甘いのはいいんだが、食感があまりにもひどいわ。
結論。
やはりマンゴーは緑っぽいヤツがよさそうだ。ジューシーでうまいし。
いやぁ勉強になった。これぞ実学である。