対馬旅 6月29日 その2

 
#日本と韓国

イメージ 1
 
ここは峰町の三根という集落。ミネだらけ。
そして三根川は清流日本一。たしかに水は綺麗そう。
でも、清流日本一の川って全国で5つあるらしいよ。フッ。

今日は本当に暑いわー。
水を見ていると心が涼しくなるが身体はやっぱりそうでもない。
日陰を求めて潰れたパチンコ屋、その名も大将軍の軒先に潜む俺。

イメージ 2

休憩がてら、あの小さな店で食料を買ってきた。
ビスコとチップスター、そして魚肉ソーセージ。
なぜか魚肉ソーセージがレジ横の棚にポンと置いてあったんだよ。
これって冷蔵しなくていいのか?そんなに日持ちするのか?
よくわからないが、お菓子以外のモノも食っておいたほうがいいような気がして思わず買う。

ところで、この店の女性と話した内容が興味深かった。

「土日になると、韓国さんの自転車がまとまって何台も走ってるよ。
 あの人たちの自転車、100万200万するんだって。
 それで宿に泊まって、アワビとかサザエとか食べて帰ってくの。お金持ちなのよ。」

へぇ、そうなのか。
対馬に来るキメキメチャリダー軍団の正体が自転車好きの金持ち連中だったとは。
もちろん一人の意見だけで判断できないし、他にも色んな人がいるだろうが、
そういう人々が地元民の間でよく目立っているというのは先日の話でも確かなようだ。
そんなにハデなら一度は見てみたいもんだな。
でも、朝からチャリダーなんて全然みかけないぞ。土曜日なのに。
今日は向こうで何か大事なイベントでもあるのだろうか。

それにしても、彼女の『韓国さん』という呼び方。
微妙な距離感をよく表しているように思う。
 
イメージ 3

お、珍しい。
日韓友好民宿だって。素泊まりもできるらしい。
ここにたどり着いたのが夜中ならば泊まってみたかもしれないが、まだまだ明るいからな。

隣どうしの国なんだから仲良くやればいいのにね。単純にそう思う。
たった10年ぐらい前まで韓国のことは好き嫌い以前に、正直あまり意識もしていなかった。
俺以外にもそういう人は多いんじゃないかと思う。
韓国政府の政策ではなく、韓国人の生の声を聞いてみたい。
この土日なら遭遇するチャンスはあると思っているのだが。どうだろう。
 
イメージ 4

うあー、足の裏がイテェー。捨てたいー。

しかし!これからちょっと寄り道するぜ。
国道を外れてこんな道を数キロ。
向かうのは小綱という海辺の町だ。
 
イメージ 5

どうしても来たかった場所はここ。
小綱にある観音寺。
ここはそう、韓国から来た窃盗犯によって仏像が盗まれた場所である。

ちなみにその犯人が対馬から盗んだのは観音寺の観世音菩薩坐像だけではない。
海神神社の銅造如来立像と多久頭魂神社の大蔵経というのも同時に盗んでいる。
つまり初めから盗むことを目的として対馬に来たのだ。
管理者が常駐していなかったらしいこの観音寺など、非常に仕事がしやすかったことだろう。
 
イメージ 6

これによると、仏像は元々は高麗の浮石寺にあったそうだ。
それがどういう経緯で対馬に渡ってきたのかは定かではない。
しかし、現在の韓国にある浮石寺は、

「仏像はかつて日本に強奪されたものだから、日本ではなく浮石寺に返還すべき」

こう主張しているそうな。
その論調は明らかに不自然だ。
犯人は義賊でもなんでもなく窃盗犯で、韓国内で売り捌くために盗んでいったことがわかっている。
浮石寺に返還されるべき正当な理由があるのならば正当な手続きでもってそう主張すべきで、
犯罪者が盗んで持ってきたタイミングでそれを我が物にしようというのはあまりにも見苦しい。
…日本人ならそう考えるだろう。
だが韓国では、そんな無理な論理が通ってしまうのか?
多くの韓国人が本当に、本心からそのように考えているのか?
もし仮にそうならば、断絶は深いと言わざるをえない。

自分の中の常識が通じない隣人。これは悩む。誰だって悩む。
俺はこの問題のヒントを求めて対馬に来たようなところもある。
これまで折に触れてこの問題について考えてきて、そして今、少し見えてきた気がする。

日本と韓国のモノの考え方の違い。
それは、『敵』という感覚の差ではないだろうか。

敵に対しては容赦しない。これは人類どころか生物全体にとっての本能だ。
そして韓国は国の方針として、『日本は敵』だと設定することに決めたのだと思う。
相手は日本だけに限らない。
彼らにとってはサッカーなどの国際的なスポーツの対戦相手もまた『敵』なのかもしれない。
そう考えれば、試合をするたびにトラブルになる理由も見えてくるように思う。

この、相手を敵視するというシビアな概念が、ノンキな日本人にとっては馴染まないのだと思う。
先にも書いたように、悪人も死ねば仏とみなすのが日本的な文化である。
過ちは水に流すし、話せばわかると思っている。
つまり、誰かを絶対的な悪と考える発想に馴染みがないのだ。
だが、これが甘いと言えば甘い。

韓国、中国、そしておそらく欧米などにおいては、『敵』とはそういう甘いものではない。
対等の存在ではなく、どんな手を使っても徹底的に叩き潰すのが正義なのだ。
なぜなら、そうしないと自分が叩き潰されてしまうからだ。敵同士で恩情などありえない。
それが、理解を超えた異民族と常に争い続けてきた彼らにとっての常識なのではないか。

外国人が冷たい、荒んでいると言っているのではない。
どの国のどんな人間にも、身内に対する愛情や仲間に対する友情はある。
ただその感情は、『敵』と認定した相手には適応されないということだ。

そしてこれは実は、日本でも同じことが言える。
歴史上、日本においても『理解を超えた異民族』との争いはあった。
古くは元寇など。近くは世界大戦。『鬼畜米英』がまさにそれだ。
人は明確に敵を設定した時、果てしなく強く、残酷になるのだ。

長々と書いてしまった。
つまり言いたいのは、韓国という国は日本を理解を放棄した『敵』ととらえたがっているということ。
そして日本は、韓国という隣の国を『敵』とまでは考えたくなかったということ。
両国の異様な行き違いは、相手に対するこの根本的なイメージの違いにあるのではないか。

間違えて欲しくないのは、これはあくまでも政治の話、国を代表する政治家たちの方針の話だ。
個人レベルとなると話はもっと複雑である。
俺がこれまで話をしたことのある韓国人は数少ないが、優しい人も明るい人も、誠実な人もいた。
そこにギャップを感じるのだ。
俺はできれば人を憎みたくない。罵り合いたくない。うまくやれる方法を見つけたい。
そのほうが生きていて気分がいいからだ。
だから俺は、対馬に来てみようと思ったのだ。
 
イメージ 7

観音寺のすぐ横には、こんな大きくてまるい石が祭られている。
ご神体?
こちらは仏像と違って何も説明がないのでどういう由緒なのかまったくわからない。
個人的には高く売れそうな仏像よりこっちのほうが興味を惹かれるな。

#仁井にて

観音寺はこのあたり。
 
よし。
バイクではなくどうしても歩いて来たかった観音寺には来た。
というわけで、また国道に戻らないとなぁ。

気づけばもう18時。外は暗くなり始めている。
小綱のバス停で休もうかと思ったが、ここで寝てると無用なトラブルの元になるかもしれない。
通りがかりの人に何度か道を尋ねて、地図的には近道っぽい山道よりも、
元来た道を戻ったほうが早いという皆さん全員の教えに従うことにした。
同じ道を通るのはかなり嫌いなのだが、なんせ昨夜の件もある。
夜中のグネグネ山道はもうコリゴリだ。

おとなしく元来た道を数キロ引き返し、ふたたび国道に戻ってきた。
もうすっかり暗くなってしまったが、俺はまたしてもスマホのLEDライトを点灯させてしつこく進む。
近辺でいいバス停が見つからなかったという事情もあるが、
もう数キロ先にある仁井(にい)という町が、なかなか大きそうだからだ。
大きい町なら落ち着けるだろう。
そこまでもうちょいときたら、夜でも歩く価値はある。

イメージ 8

対馬の定番。
長ーい峠を上ってトンネル通って下ってくれば、そこが豊玉(とよたま)町の仁井という町だ。
おぉ、思ったとおりに大きい。パッと見、比田勝ぐらいの規模はありそうな気がする。
なんせパチンコ屋が2つもあるしな。
ちなみに1つは豊玉会館という名前で、単に地名が店名なのだが、
パチンコ屋の名前として妙にジャストフィットしているような気がしてならない。
とにかく、仁井はリッパな町。
ここなら寝床なんてどこにでもある!

…と思ったら、ない!
意外なほどに良いポイントがみつからない。
アテにしていたバス停は、なんと事務所と繋がったバスターミナル兼車庫だ。ここで寝てたら不審すぎる。
じゃあ公園にでもと思うが、対馬の町には驚くほど小さな公園というものがない。
まさか、これほどの町で寝床を見つけられないとは…。
アテにしてたらダメ。期待してないのにラッキー。旅ではよくあることだけど。

夜の町をこれ以上さすらおうにも、足がもう限界近い。
今日も結局、結構歩いてしまった。寄り道までして仁井に到達だもんな。
どうしたものか…。この際だから宿に泊まってみるのもアリかな。
仁井にはいくつか民宿があるようで、その中でもビジネスホテルと書かれた建物に俺は目をつけた。
よし、ここいってみよう。ダメならもうどっかでなんとか寝る。

で、ダメでした。
今日はいっぱいなんだと。たしかに中には人がたくさんいて忙しそうだったよ。土曜日だからなぁ。
こうなったらやはり野宿だ。町を少し出てしまうのもやむなし。
郊外にあるらしき大きな臨海公園というヤツにでも行ってみるか。歩くとスンゲエ遠そうだが。

ゲンナリしながら国道を離れて海に向かっていた途中、幸いなことに、ほどほどのバス停を発見。
ああ、これだ。俺が探していたのはこういうヤツなんだよ。
ドアがちゃんと閉まらなくて夜風が吹き込んでくるが、この状況で贅沢は言えない。
もうここに決定。とにかく早く横になりたい。

どうにか。今日も終わったなぁ。
単純なルートのハズが、またいろいろとあったものだ。
クルマからも何度か声をかけてもらった。
俺を2回目撃したという若いお母さんと娘さんが心配して声をかけてくれたケースもあったし、
トラックに乗った男性にはいきなり「アンニョンハセヨ(こんにちは)!」と挨拶されたりもした。
日本語で大丈夫ですよ、おたがい。

本当に対馬の人は親切だ。
国籍に関係なく声をかけてくれるこの感じ、アイスランド人に少し似ているかもしれない。