5月7日 アマリロは黄色を意味する

 
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アマリロ。
大きな街だろうとは想像していたが、予想より3倍大きかった。
 
野宿場所からすぐ近くだと思っていたウォルマートがものすごく遠い!
何度も地図を見直してはまだ着かないのかと愕然としつつ、チビチビたどり着く。
大きな街はこれだから嫌だよ。
今日は用事があるから仕方ないけどな。
 
ちなみにこの街、アマリロと言っても誰にも通じない。
アーマリーロー!とノリノリな感じで言わないとダメらしい。
俺はカーリメーロー!をイメージすることでこの発音の極意を掴んだ。
 
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何でも屋ウォルマートの隣にあったホームセンター、LOWE'S。
どう発音していいのかイマイチわからないが、とにかくここで求めていたモノが買えたぜ。 
 
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折れ曲がったプラスチックバケツの代わりに、缶の容器を購入。
今度は金属で勝負だ!
 
適当なモノが見つからなければ塗料の缶を買って中身を捨てる方法も覚悟していたが、
都合よく空の容器が5ドルぐらいで売られていたのでラッキーだった。
これなら軽いし、容器としても使えそうでベストだ。
 
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試しにプラスチックバケツを地面に置き、思いっきりジャンプして飛び乗ったら粉々に砕けた。
 
この強度じゃそりゃ長持ちしないよなぁ。
しかしともかく、アルバカーキからここまでよくがんばってくれた。
持ち手の弦の部分は金属缶に再利用するから、魂は引き継がれる感じだ。
 
ついでにウォルマートでニーパッドも入手。15ドルもしたがこれは必要だろう。
コケるたびにヒザをケガしたりズボンが破れてたんじゃかなわんからな。
 
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必要なモノを買い終えたら、今度はWIFIとスマホの充電を求めてマクドにインだ。
この親指は、
「ドクターペッパーはマズいという記憶があったが久々に飲んでみるとそこまでひどくはなかった。」
という印である。
 
今日も外は当たり前のように横風が強い。ここでじっくりと充電してからゆっくり進もう。
たぶん今日はアマリロの街を出るだけで終わるだろうな。
店内でテレビを観ていると、明日はオクラホマあたりで雷雨の予報らしい。大丈夫だろうか。
雷雨は英語でサンダーストーム。怖いけどちょっとカッコいい。
 
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サングラス焼けが著しい。
旅の初めの頃にあった唇割れなどの外傷はすっかり消えたが、
見た目のインパクトは今のほうが強烈かもしれない。
それにしても歌舞伎か永谷園みたいな壁紙である。
 
WIFIの繋がるスマホで作業をしながら充電しているので、満充電にはかなりの時間がかかる。
午前中に入店して昼頃の若者たちによるラッシュアワーが過ぎ、それでもまだいる俺。
ちょっと美人さんだがだいぶ無愛想な店員に、ひょっとしたら目を付けられているかもしれない。
フロアの掃除で俺のテーブルまで来た時に何か言われたし、
食べ終わって長らく置いておいたトレイを何か言われながら持っていかれてしまった。
 
問題なのは、何を言われたのかわからなかったことだ。
掃除の時はコンセントに刺した充電器について何か文句を言われたようであったし、
トレイを持っていかれた時はいつまでも客ヅラしてないで出て行けと言われたようでもあった。
でもなぁ、よく思い出して検証してみると、
あとで写真を撮らせてくれない?とか言われたようでもあるし、
良かったらこのトレイを戻しておくわよ?なんて言われたようでもある。そんな気もする。
どっちなんだよ!
こういう時に自分のリスニング能力の無さを痛感するなぁ。
 
いよいよ充電が完了してしまったので、マクドを出る。
やはり風は強い。
街なので歩道を歩いていると、信号待ちのクルマから声がかかる。
ニューメキシコ州で2日前に俺を見たという初老の夫婦だ。
ダンナの方は金をくれようとするが、気持ちはありがたいけど断る。
金はいらないんだ。
 
おもむろに歩道がなくなり、貨物列車のターミナルのような広大な線路にブチ当たった。
左右を見回しても線路を越えられそうな場所はない。
頭上にはフリーウェイが通っていて、クルマなら何の問題もなくこの線路を越えられるのに。
しばらく途方にくれていると、またしてもクルマから声がかかる。
今度は工場勤務風の汚れたツナギを着たおっちゃんだ。
 
「この道をまっすぐ歩いて行ったから気になってね。この線路を渡りたいんだろう?」
 
彼はそう言って、線路の向こう側までクルマで送ってくれるのだった。
クルマでもしばらく走らないと線路を越えられる道まで出られなかったから、
ここを歩いていたら相当な時間がかかったことだろう。
これはとてもありがたかったよ。そしてやっぱり街は面倒だ。
チャリティーでもやってるのか?とまた聞かれたが、違う。
好きでやってるだけだよ。
ところで、ここはいつもこんなに風が吹いてるの?
 
「そうだ、アマリロはいつでも風が強いんだよ!」
  
そろそろアマリロの市街を出て信号も減ったから一輪車に乗ろうかと思ったら、
タイヤに木の枝っぽいモノが刺さっているのが見える。
何気なく抜いてみたら豪快に空気が抜け始めた。
ああ、パンクだ。おいおいー。
 
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さっそく近くのガスステーションの軒先を借りて修理開始。
36インチのタイヤを外すのは実はこれが初めてなのだが、案外あっさりとチューブの交換が完了。
ネットでは36インチはタイヤが固いから相当な力がいるとか書いてあったが、ありゃデマだな。
 
それにしても、1200キロほど走って初のパンクか。
パンク修理キットはもちろん、換えのチューブも3つあるからたぶん大丈夫だとは思うが、
長旅でのパンクというのはやはり不安になるものだ。
36インチのチューブやタイヤなんてちょっとその辺じゃ買えないから余計にな。
 
マクド休憩だのパンクだの色々あったが、やっと広いアマリロの街を出た。
夕方はなぜかいつもよく進む。
風はマイルド。元気もある。
アマリロから20キロほど走ってフリーウェイの路肩付近で今日は寝る。
走行距離53キロ。
 
明日は天気が心配だ。オクラホマに近づくほど雨が降りやすい予報である。
そしてそんなオクラホマまではあと400キロもある。やれやれ。
金属の缶で何度かバケットスタートしてみたが、これはいい感じ。
頼むから今度は潰れないでくれー。
 
夜中。
最近なぜか寝付きがよくない。
ちょっと前までは疲れてすぐ眠ってしまっていたのに。
まだ旅は半ばだ。
明日出会う人、明後日起こることを、俺は知らない。