6月9日 公の人々


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4泊したペニー宅を出る。
この客間に初めて来た日は熱でフラフラしていたが、今やもうすっかり復活だ。
夏でも涼しく、静かで落ち着く良い部屋であった。

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朝食はシリアルでサクッと。
手料理ばかりご馳走になっていると、むしろたまにこういうモノが食べたくなる。
食習慣が正しくない証拠かもしれない。
この家のキッチンがアメリカの一戸建てにしては小さいのは、この建物が元々は別荘だったからか。

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出発前にサチコさんにご挨拶。
元はといえば、日本人がいるからと言われてやってきたこの家。
大変お世話になった。
これは縁というやつだろう。

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俺がいなくなれば彼女はまた日本語を話す機会がなくなるのだろうか。
どうかお元気で。

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デカいクルマが似合うフィル。
コロンバスは都会だから一輪車では走りにくいだろうと、郊外まで送ってくれることに。

彼が路肩で寝ころぶ俺を拾ってくれなかったら俺はどこでどうやって風邪を治していたのだろう。
コロンバスで安いモーテルを探して治るまで数泊していたかな。
そしてそれはそれで、特になんとも思わなかったに違いない。
なんたって人生は一方通行だからな。

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コロンバス郊外にある巨大なアメリカ軍基地のあたりで下ろしてもらう。
さあ、ここから再始動だ。

年の離れた俺のことをしきりに友人と呼んでくれる彼。
本当にありがとう。さらばだ。

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実に4日ぶりのユニサイクルツーリング。
こんな光景がすでにちょっと新鮮だ。
とにかく走れることが嬉しい。

病み上がりで身体が鈍ってはいるが、
休養中に股の鈍痛と太もも筋の疲労が多少とも回復しているので、調子はトントンといったところ。
これなら結構進めそうだ。


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おっ、バイクレーンが現れた。これはラッキー。

大したことない幅のレーンでも、この看板があるとないとでは快適さがまるで違う。心身ともに。
コロンバス以降もジョージア名物のアップダウンはあいかわらずっぽいけどねー。
やれやれ。

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通り過ぎたクルマが停車して話しかけてくる。
これこれ。ユニ旅とはこういうものだった。

水のボトルを2本もくれた彼はデビット。
すぐそこの大きな基地で働く、頭脳労働系っぽいアーミーだ。
教えてくれたメールアドレスのドメインが、まんまarmy。
うおっ、ホンモノ!

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快晴なのはいいんだが、今日は暑い。
地図上はいくつか町がありそうな今日のルートも、補給に関してはあまり信用できない。
そんな中でみつけた丸太小屋風の商店に突入ー。

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見よ、パワーレード3色そろい踏み!
化学の実験みたい!

やたら暑くて喉が渇いていたのと、
こういう身体に悪そうな買い食いアイテムが久しぶりだったことで、ついハッスルしてしまった。
一緒に買った駄菓子っぽいケーキも強烈に甘くてアメリカ感満載。
調子に乗って食い始めたが甘すぎて最後のほうはキツい。無理やり押し込む。負けた。

この店は店内にテーブルがあり、涼しいところでゆっくりと休ませてくれたので助かった。
どうもありがとう!

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夕暮れ間近、カスバートの町に到着。
しかしこの町も案の定、道路から市街までは相当寄り道しないと行けなさそうだ。
どういうわけかこのハイウェイはこんな構造の町ばかり。

大して用事もないので町まで行くのは早々に諦め、入口付近で休憩していると、
クルマに乗った黒人女性たちの集団から話しかけられる。
何を思ったのか一緒に写真に写ってくれと頼まれ、パシャパシャ撮られる。
彼女たちは実に丁寧に話しかけてくれるのでこちらも気分がいい。
サンキューサーなんてアメリカに来てからあんまり言われたことがない。

女性たちが去ったあとは、入れ替わりのようにパトカーがやってくるのだ。
厳密にいえば彼は警官ではなくシェリフだな。
しかし今回も例によって厳しく職質などされず笑顔でスルー。

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さーて今日もそろそろ追い込みの時間だな。
適当なところで寝床をみつけて…と思っていたら、またしてもシェリフにみつかる。
さっきとは別の人だ。
今度こそ何か言われるかと思ったが、やっぱり笑顔でスルー。セーフ。
一日に2回もパトカーに遭遇するのはちょっと珍しいが、何事もなければそれでいいのだ。

カスバートの郊外のあたりでガスステーションを見つけたので入る。
今日の夕食と明日の朝食を買ういいタイミングだ。
が、しかし。
中で買い物をしていたら、なんと駐車場にさっきのパトカーが!しかも2台!
さらに2人まとめて店内に入ってくる!
うわぁぁこりゃもう完全にみつかってしまった。
イヤな予感はしたが、やはり今晩の寝床について聞いてくる彼ら。

うーむ、面倒なことになった。
警官に対してはさすがにその辺で野宿しまーす!とは言えない。
仕方なく、モーテルに泊まるつもりだと申告。
なんとなく納得してくれたようなのでホッとしていたら、
おそるべきことに彼らは外で俺を待っている様子だ。
バックれるつもりだったのに!

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ありがた迷惑というかなんというか…。
モーテルまで送ってやるというので、ついにパトカーに乗せられてしまうことに。
なぜか超笑顔のシェリフ。

困った展開になってしまったが、アメリカのパトカーの内部が見られてちょっと嬉しい。
さすがはパトカー、ドアが中から開かない構造だ。

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少し道を引き返したのだろうか、カスバート市街のモーテルに護送完了。
こころよく写真を撮らせてくれる2人のシェリフ。
今日別々に遭遇した彼らに夕方まとめて再会してモーテルまで連れてこられるとはまさか思わなかった。
右の一見コワモテっぽい人の一言。

「私ももう少し勇気があれば、君のような旅がしてみたかったよ。」

拳銃吊るしまくった強そうなシェリフも人間なんだなぁと、当たり前のようなことを思う。

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意外にもこのモーテルはいい。
一泊45ドルのところをなぜか35ドルに値下げしてくれたし。
警察割引なのだろうか?
さっきのガスステーションのすぐ隣にもチェーンのモーテルはあったのに、
わざわざこの個人経営っぽいモーテルに連れてきたのはシェリフの知り合いだからなのかもしれない。

今日は泊まるつもりはなかったけど、結果的にはオーライだ。
走行74キロ。
復帰初日としてはまあまあかな。