ものもらう男・シルバー

イメージ 1

イメージ 2

イメージ 3

イメージ 4

イメージ 5

イメージ 6

イメージ 7

イメージ 8

イメージ 9

田浦の道の駅を出発してすぐのこと。
タンクローリーに乗ったイカツイおっちゃんが、
無言&無表情で缶コーヒーを手渡してくれた。
な、なんだ一体!?
い、いただきます!!

次は、自転車に乗った青年に声をかけられる。
彼は軽装なので通勤通学にしか見えなかったが、
実は神戸から鹿児島までを自転車で旅しているそうだ。
日数がないので今日は一気に鹿児島まで着きたいと言うが、
おいおい、それって140キロぐらいあるよ!?
しかし、軽量化のため荷物は家に送ったというから、彼は本気なのだ!

俺みたいに期限もなくフラフラダラダラ旅をするのもいいが、
この彼の、限られた短い日数を全力で走り切る旅というのもまた熱い。
無事を祈る!

今日も3号線は道が良くて助かる。
ただ、トンネルだけはいただけない。
1500mもあるのに歩行者用通路のない古いトンネルがあったりする。
これは怖いぞー。

とはいえ、3号線自体が古い道だ。
道そのものは改修して広くできても、
トンネルだけはなかなかそうもいかないのだろう。
でも内部の亀裂がなんともいえない感じで申し送られているのが、
ちょっと気になるといえば気になる。

次の大きな街といえば水俣市になるのだが、
それまでは芦北町、津奈木町と、海と山に面した細い道のりが続く。
道端にはもうあの八代特産巨大ボンタン晩白柚を見ることはできず、
町ごとにそれぞれ違う柑橘類を栽培しているらしいのがおもしろい。
そういや田浦は甘夏みかんの故郷だったな。あれはうまい。

何度目かの大したことはない峠を越えてコンビニをみつけた時、
そこでさっき追い抜かれたワゴン車が待ち構えているのが見えた。
老夫婦と少年?が下りてくる。
クルマに日本全国の記念ステッカーを貼っているのを見てわかるように、
彼らもまた日本を巡る旅の途上らしい。

老夫婦は一輪車旅になんだかやたらと感心してくれて、
俺は旅のスタンプ帳みたいなノートにサインすら求められるのである。
そして彼らは俺に元気をもらった!と何度も言ってくれ、
俺はパンとミカンをもらったのでお礼を言う。
等価交換の原則?

それにしても、一緒にいた少年?は無口でこちらにも無関心そうだ。
夫婦の子どもではないと思うが、何か事情があるのだろうか。
もし俺の元気をあげられるものなら、できれば彼に分けてあげたいと思う。
50グラムぐらいでいいかな。

なぜかところどころに彫刻が置いてある津奈木町では、
路肩に突っ込んできたクルマの助手席からフランスパンが突き出される。
車内には妙齢の女性コンビが。おぉ、嬉しいね。
ゆっくり停車できるところがなかったせいか、
彼女たちは疾風のように走り去って行くのであった。
ありがとうございまーす!

いやぁ、今日はよく食べ物をもらう日だな。
平日とはいえもう12月29日。そろそろ休みの人も多いのだろう。
のどかな田舎町の家々でも、大掃除にかかっている人をチラホラ見る。
昼間の天気は俺には少し暑いぐらいだが、もう年の瀬なのだ。

さて、道は続く!