対馬旅 7月1日 その2

 
#アタック・バッド・リバー

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椎根の集落の突き当たり。
ついに来ました!
ここで地方道24号線はなぜか一時消滅。道もあからさまにショボくなって不安感まるだし。
だが、とりあえずこんな標識でも立っているだけで少しは希望が持てる。

まだ昼過ぎだから時間はおそらく大丈夫だろう。
今日のアタックに備えて毎日少しずつ余分に距離を詰めてきた甲斐があった。
さあ、行こうか!

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最初はこんな感じ。
川沿いに進む渓谷の道という風情で、まだアップダウンもそれほどではない。
小茂田以降はクルマもパッタリと通らなくなった。
たぶんここより先の集落に用事がある人は、ここではなく別のもっとマトモな道を通るのだと思う。

ところで、このあたりの地図を眺めていると、
いかにも険しそうなグネグネ道が気がかりなのはもちろんなのだが、
もう1つ、とても気になるモノがある。
それは、今俺の隣を流れている川のことだ。
 
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名前がなんと悪水川。

えー!ひょっとして飲めないのか?それとも米が育たないとか。
見た感じは綺麗な清流っぽいけど…これはなんとなくビビるよなぁ。

由来はよくわからないが、川にこんな名前をつけるあたり、よほどの恨みがこもっているに違いない。
ヒィー。
 
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どうやら峠を1つ越えたようだ。
標高差は思ったほどではなさそうだが、なんせ長い。
時間はあるから休み休みいこう。

近頃は休みといえば地下足袋を脱ぎ、足をマッサージするようにしている。
そのほうが回復が早いように思ったからだが、
鬱血した足の裏をもみほぐす、このイタ気持ちよさがなんだかクセになりそうでちょっとヤバい。
 
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あ、シカのツノ発見。

折れているので中身がよくわかる。中心に骨髄みたいな組織があるな。
なるほど、角ってのは骨の一種みたいなものなのかもしれない。
試しにコンクリのカベに叩きつけてみたら、非常に硬くてそうそう折れるものではないことが判明。

ちなみに、対馬の山でもっともよく見かける動物はシカだ。
夕方の山道を歩いているとしょっちゅうシカと出くわす。
北海道もそうなんだけど、シカってのはそれはもうビシバシ繁殖するんだよな。
仔ジカなんかはカワイイが、あれであいつら結構、たくましいんだぜ。
 
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長ーーーーいけど、案外アップダウンはフツーだった山越えを経て、上槻(こうづき?)の集落に出る。

あの山、もっと険しいのかと思ったけどな。
正直、拍子抜け。
下りはアルティメットもちょこちょこ乗ってこられたぐらいには余裕があった。
でもおかげで明るいうちに越えられたのはつくづくよかったな。
 
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本日のメインイベントを終えてしまえば、あとは惰性だ。
久根田舎(くねいなか)というあんまりな名前の集落で、まだ開けてくれている商店を発見。
この区間で食料を補充できるとは心強い。

もう夕方。
ちょうど学校で何かの活動が終わった時間らしく、クルマで子どもを迎えにきた家族とたくさんすれ違う。
俺と目が合えば気持ちよく挨拶してくれるのだが、
その中でまだ空気の読めない小さな子どもが母親に向かって思いっきり、

「あれ誰?韓国人?」

と聞いていたのは笑ってしまった。
そうだよなぁ、不思議だよなぁ。

ま、去年のちょうど今頃は、キューバでさんざん中国人呼ばわりされていたのだ。
旅の間の一時であれば、たまには異邦人として扱われるのも悪くない。
ただそれは、ひどい偏見や差別がなければの話だ。
 
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久根田舎、久根浜と集落を移動。
淡々黙々と歩いてきた。
峠を越えてふたたび海に出会い、なぜかここでムダにしか思えない大ーきなUターンをしてさらに歩けば、
佐須瀬、という場所に出る。

…さすせ?
でもこの集落は道を隔てて南側ですぐに名前が変わり、今度は豆酘瀬になる。
…つつせ?
どっちにしろ楽しいネーミングであるが、集落全体の名前としては、瀬、が正解らしい。
…せ?

もういいや、とにかくこの瀬で、素敵なバス停を見つけることができた。
夜中に集落突入のタイミングでよい寝床を発見。最高である。
最大の難所も越えたし、あとはもうなんとかどうにか進めるだろう。

この旅もそろそろ終わりが見えてきた。
旅は、始めた瞬間から、終わりにむかって自動的に動き出すのだ。
どんな旅でも必ず終わる。
でもそれがどういう結末なのかは、終わるまでわからない。