あんまり食い物に興味はないのだ


世の中には、グルメな人や、食べることが生き甲斐だという人がたくさんいることは知っているが、残念ながら俺はそうでもない。

外食は好きじゃないし、珍しい食べ物のために旅行をしようと思ったこともまったくない。
ただ自分が好きな限られた食べ物を、買って来るなり自分で作るなりして家で食べているのが一番落ち着く。
野菜スープ、お茶漬け、チャーハン、蕎麦かうどん、カレー、30回に一回ぐらいハヤシライス、これぐらいのローテーションで充分なのだ。
俺が昔からこんな風である理由としては、胃腸が丈夫でないというのも大きいだろうが、たぶん舌、というか脳の味覚に関わる領域が、一般レベルよりもだいぶ保守的なのだろう。

でもまあ、今は一人暮らしでもないし、まして料理担当なので、そうも言っていられない。
ということで、今日は新しい食材に挑戦してみよう。

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これだ…。
前から気にはなっていた、バターナッツという謎の物体だ。

アジアンスーパーではなく普通のスーパーにも気軽に売られている野菜なのだが、正体がよくわからない。
調べるとカボチャの一種とあるものの、バターナッツという何が言いたいのかわからない名前のせいでとっつきにくい感じがする。
しかし、アメリカはまたそろそろハロウィンの季節であり、この時期には店頭にカボチャ類がドッと増えるタイミングでもある。
いい機会だからここでひとつ、このバターナッツを分解してみるとしよう。

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そこそこ硬いバターナッツを割ると、中身はこんな感じ。
あら、ただのカボチャじゃないの。
下の丸い部分にはカボチャ一族おなじみのタネが詰まっているが、上はなんにもない。
カボチャのくせになんにもないメロンみたいな果肉の部分があるのは少し違和感がある。
まぁとにかく、見た目がカボチャならもう方針は決まった。

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もはやこのザマになると、ただの一般カボチャと同じ扱いだ。

まずはバターでしばらく炒めてやるとしよう。

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そして牛乳を加えて粗熱を取り、ブレンダーでこなっごなにして差し上げる。

ブレンダー、便利だけど洗うのがめんどくさいんだよな。

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なんかうすらボケた写真だが、ポタージュにしたらこんな感じ。
見た目はともかく、カボチャと牛乳と塩コショウだけで充分甘くておいしいポタージュに仕上がった。

これまで試したアメリカのカボチャはどれも甘くなくてハズレばかりだったが、外見と名前が珍妙なバターナッツこそがなぜか一番甘くておいしかったという意外な結末。
これならまた買ってもいいかな。

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英語クラスのパーティ(厄介なことによく開催される)で某ルーシーが、

「次は何を持ってくるんだい?ミソスープはもういいよ!」

などとやたらプレッシャーをかけてくるので、今回は巻きずしにしてみた。
巻きずし、何度か作ってはいるのだが毎回作り方を忘れ、酢が足りなかったり具が真ん中にこなかったりして残念な状態になる。
でもパーティでは完売したようなのでよしとする。

今回はちょっと用事があって参加できなかったんだよな。
でもせっかく作った巻きずしを持っていくだけは持っていって義理を果たし、ついでに俺が某ルーシーに熱く頼んでおいた伝説のプエルトリコ料理(?)だけはガメてくることに成功した。

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これだ。
なんだかこれまたおいしくなさそうな写真だが、とにかくこれが伝説のプエ(略)!
鶏肉をビールで煮込むんだそうだ…。
意外と言ってはルーシーに失礼だが、これはなかなかうまかった。
ビールのせいかどうかは知らないが肉が柔らかい。そしてなぜかカレー風味だった。

もし身近なラテン人にこの料理を催促したい時は、

「ヨ キエロ コメール ポリョ エン セルベサ!」

と、インチキなスペイン語でしつこく迫りましょう。

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これは別のスペイン語教室のパーティ(因果なことによく開催される)にて、マージ女史が持ってきた先生への時期ハズレバースデーケーキ。
何が言いたいのかというと、青ってのはやっぱり食い物の色じゃないよな!
しかもあの異様な甘さ…。
80歳にこのケーキを食わせて果たしてよいものか…。
(結局、翌日の英語クラスのみんなでおいしくいただきました。)

あ、その辺のラテン人の誕生日を祝ってやりたい時は、ケーキに書かれているように、

「フェリス コンプレアニョス!」

と、できるだけポッと出感いっぱいに言ってあげましょう。

結論:
食べ物にあまり興味がないと、料理の見た目も写真もおいしそうにはならない。