間違えまみれのテニスラケット選び


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こっちに来てからすっかりニュー趣味として定着した、テニス。

せっかく環境が変わったのだから何か新しいことを始めようとは思っていた。
実はあえて異国で合気道とか色々考えていたのだが、結局のところこのテニスが今の俺には最も向いているようだ。

日本では興味はあっても金がかかりそうで二の足を踏んでいたテニスも、このあたりではどういうわけか無料の公営コートがあちこちにある。
またコミュニティ内に専用テニスコートがある人と知り合いになれば、そこに行って打つこともできる。
そんなわけで、移動のガソリン代とたまに変えるグリップテープ以外にテニスで出費したことがない。
ボール?そんなのコート裏の茂みからホームランしたヤツを拾ってくるんだよ。

そんなわけでもうかれこれ1年以上もやってるんだが、これがまたなかなか上手くならない。
難しいんだよテニスって。とにかく枠に収めないといけないからな。
ときどきスクールやレッスンも勧められるけど、それはパス。
身体運動は自分で考えて成長していく過程が面白いので、どこまでも我流を貫くつもりだ。

さて先日、いつのまにかできたテニス仲間の一人であるアヴィ(イスラエル人)が、昭和の香りすら漂う化石のようなラケットをついに打ち捨て、新しいのを買うと言い出した。
そしてデモ(試打)用ラケットを4本注文し、それが届いたという。

趣味もしばらくすると、必ず道具に凝るようになるものだ。
俺もちょうど、今のラケットが自分に合っているのか疑問を感じていたところである。

「一緒にテストしないか?」

「するに決まってるだろ!」

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おおっ、ラケットがたくさん!豪華!

上の4本が今回アヴィが注文したデモ用ラケット。
ウロ覚えで適当なのだが左から、

プリンス ライトニング。妙に軽い。入門用?
プリンス ウォリアー。ちょっと重い。中ぐらい向き?
バボラ ピュアアエロツアー?だっけ、自信がない。強烈スピンで有名なメーカー。結構ズシッとくる。
バボラ ピュアアエロチーム?ツアーよりは軽い。

まぁとにかく、テニスラケットってのは各メーカーごとにやたら膨大なラインナップがあるんだよ。 
詳しくは知らないけどな!

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人がラケットの写真を撮っているとおもむろに映り込んでくるアヴィ。
ニューヨークで生まれ育ったイスラエル人ということでイマイチ何を考えてるんだかよくわからないが、とにかく明るいイイヤツだ。

下の2本のうち左は俺のウィルソン six-one 95 (もらいもの)。
フェデラーモデルのすごくいいラケットらしく俺もこれに慣れているのだが、近頃ちょっと重いかなと感じる。
このラケットの309グラムというのは画像のラケット内では最も重く、フェイス面(ガットの面積)の95平方インチというのは最も小さい。
ラケット界においては、重くて面が小さいモノほど上級者用というような風潮があるらしい。
たぶん今の俺にはオーバースペックのラケットなのだろう。

下の右はアヴィの昭和っぽいウィルソン。モデル不明。
重さ250グラム。極端に軽い。フェイス面積110だったかな。異常にデカい。
おそらく初心者用の中でも特に軽いヤツ。中1で文芸部の女子でも振れると思う。
なんでそんなラケットを毎日ジムでウェイトトレーニングやってるムキムキマンが愛用しているのか。
ちなみに借りて打ってみると、夕ご飯ができたお母さんが2階の息子を呼ぶのにお玉でフライパンを叩いているようなメタルサウンドがする。
せめてその枯れ切ったストリングを換えろ。

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ここはアヴィのコミュニティ専用のコートなので、整備が良く夜間用のライトも付いていて最高。
公営コートはたまに空き待ちになることもあるが、ここは4面もあって全部埋まっているところを見たことがない。

さて待望のテスト大会であるが。
4本打ち比べた結果、個人的にはプリンスのウォリアーというヤツが気に入った。
275グラムぐらいのほどほどの重さで、グリップが細くて握りやすい。(グリップの太さは選べる)
打感も素直で予想外の方向に飛んでいきにくい。
この4本の中でもし俺が買うとしたらコレだろうな。買わないけど。
俺はどちらかというとMADE IN JAPANのヨネックスが気になっている。

バボラは普通に打ってるのに勝手にスピンをかけようとしてくるのでなんだかお節介な感じがした。
特に競技志向のアエロツアーってヤツ。あれは俺の好みと対極だ。
試合に勝つならそっちのほうがいいんだろうけど。

トップスピン命のアヴィは当然スピン命メーカーのバボラを気に入るハズだと思っていたのだが、意外なことにイマイチだったようだ。

「重いし、飛びすぎる。今のsilly racket(ボロいラケット)でいいような気がしてきた。」

いやそれは…。
魂が抜けたぐらい軽い上に死んだストリングを張ったミイララケットに慣れすぎたせいじゃないのか…?

しかし、パワーがある人は重いラケット、ない人は軽いラケットが合うものだと勝手に思い込んでいたが、彼のようにあえてパワーがあっても軽いラケットを選択するという人も中にはいるようだ。
非力な俺はスピードボールをまったく打てないので少し軽くて良く飛ぶラケットにした方がいいのかなと悩んでいたのだが、ムキムキ野郎にはまたムキムキ野郎なりの独自見解があるものらしい。
自分に合ったラケット選びというのはなかなか奥が深いものだと感心する。

そんな彼を見るにつけ、俺もだんだん今の重いラケットでもこれはこれでいいような気がしてきた。
結局、ラケットより自分自身だよな。

その後、ヤツはいきなり隣のコートのロシア人ペアに話しかけ、ダブルス対戦を取り付けてくるのであった。
なんだかわからんが、勝った。
そして俺はイカツいロシア人ペアにこう言い放った。

「スパシーバ」

と。

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翌日は、豪華クルーズ旅行から帰って来た手前のマニーシュ(インド人)に呼ばれて、その友達であるヤシール(パキスタン人)のコミュニティにあるコートで夜間練習。

本当にこの近辺、アメリカ人がどこにいるのかよくわからないぐらい外国人だらけである。
いちおうスティーブというアメリカ人のテニス仲間もいるが、アメリカなのにアメリカ人の影が薄いってどういうこと。
これはこれでいいけど、日本にはまだこういう国にはなって欲しくないなーと勝手に思う。

とにかく、近ごろ俺がよく練習する相手はこのアヴィ、マニーシュ、ヤシール、スティーブの4人だ。
テニスというのは、人によってプレースタイルが全然違うところがとても面白い。
アヴィはトップスピン命で、マニーシュは速いフラットショットを的確に打ち込むパワー&技巧派、ヤシールはネットスレスレのやたら低い弾道のショットしか打たず、スティーブは動きは遅いがサーブだけは強い。

色んなタイプがあるものの、俺はゲームをやるとマニーシュ以外の3人には大体勝つ。
なぜなら、チビチビ返してミスを待つだけで相手が勝手に自滅してくれるからだ。
そういう陰気なプレーヤーを日本ではシコラーと呼び、大変嫌われるものらしい。
いいぞもっと嫌いなさい。

それにしても。
一番最初に初心者を自称して近づいてきたマニーシュが今でも最強でまったく勝てないとはどういうことだ。
来年の目標はあのインド人をボコることだな…。(今年は諦めた)

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そんなインド人に教わって、ついに念願の一人練習用の壁を発見!!

ここは実際はラケットボールというテニスに似た室内スポーツの練習場なのだが、いつも空いているのでテニスの練習に使っても構わないそうだ。
四方八方が壁に囲まれていて、日焼けもせずボールも飛んでいかず、これ以上はない環境。
いやーこういう壁、本当ーに切実ーに探してたんだよ。
これで心ゆくまで自己に埋没して基本練習ができる。

何人を相手にしようとも、俺は勝つ!(来年は)