真・異次元都市秋田

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体格はいいが優しそうなお兄さんが選んだのは、
鹿児島で書いた『全開』と、
広島で描いた『相聞宮』。
なかなかシブいチョイスだ…。

『全開』は、鹿児島の段ボールに絵を描くギター青年が、

「俺は金がないので買えませんが、
これは絶対に売れますよ!」

と請け負ってくれた一品。
確かに売れたよ。なぜか秋田でな…。

『相聞宮』は…えーと、なんにも考えずに楽しく描いたヤツ。
ソウモンキュウという題名の音だけが決まってたような気がする。

いやー、それにしても。

売れちまったなぁ。
しかも2枚ですよ、2枚。
それも秋田ですよ、秋田。
人生何が起こるかわからんものです。
俺はてっきり、
このまま北海道まで1枚も売れないだろうと思ってたからなぁ。

神戸でTシャツの在庫がだいぶ減っていたのだが、
ここで2枚買ってもらえて更に減った。
今のラインナップじゃ正直、
店を開くのに自信満々ってわけにはいかない。
在庫を多少とも増やすのが先か、
旅が終わるのが先かってところだ。

そんなことを考えながら絵を描いていると、
颯爽と現れた警備員さんに立ち退きを言い渡される。

あら、この時間から。こんな人いないのに。
なかなかマジメな警備員さんである。
俺としてもすでに2枚売れてるので、
ほとんど喜々として撤収開始である。

並べてたTシャツを次々と丸めていた時、
通りがかった妙に元気なオバサマに、

「あら、店じまい?何売ってたの?」

と、あれこれ聞かれる。
隣には気さくそうな若い女の子も一緒だ。

カクカクシカジカ(一度書いてみたかった)と事情を説明すると、
そのオバサマは何を思ったのか、

「じゃあ今晩はウチに泊まりなさい。
これからこの子と温泉に行くから、
まずはあなたもおごるから温泉に来なさいよ。」

と、切り出してきた。

なんていうかこの人、
言ってることもスゴイが、
その放つ威圧感というかコスモがすでにゴールド級であって、
俺のような雑兵クラスにはとても抗えない何かがあるのだ。

この時、俺は理解した。

さっきお菓子等を差し入れしてくれた花屋のお姉さんが言っていた「社長」とは、
この人に違いない、と。